関西大は半年限定で約4万タイトルの電子書籍を無料配信

関西の大学が学生に本を読んでもらおうとデジタル技術を駆使した取り組みに工夫を凝らしている。書店の協力を得て電子書籍を無料配信したり、人工知能(AI)で性格分析した本を紹介したり。ポイントは若者に身近なスマートフォンの活用だ。全国大学生活協同組合連合会による2017年の学生生活実態調査では、1日の読書時間が「ゼロ」という大学生が半数以上の53.1%に達した中、学生の活字離れを食い止める一手になるか--。

 

 

 関西大(大阪府吹田市)は今月から半年限定で、約4万タイトルの電子書籍を無料配信している。書店大手の「紀伊國屋書店」と「丸善雄松堂」が展開する電子書籍サービスを在学生約3万人に提供。スマホやパソコンで閲覧できる。ラインアップは教養書や学術書が中心だが、就職活動関連の実用書などもそろう。

 

 

 関西大によると、同様の取り組みは他大学でも始まっているが、半年もの長期間で同業2社を同時導入するのは珍しいという。担当者は「学術書などの堅い本にこそ触れてほしい」と話した。

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 近畿大東大阪市)では3月29日から、AIを使って潜在的な興味と合致する本を紹介するサービスをスマホ用アプリに追加した。ツイッターフェイスブックソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)への投稿内容を基に、AIが利用者の性格を分析。昨春開館した、図書館機能を持つ施設「アカデミックシアター」の蔵書約7万冊の中から一冊を推薦する。SNSを利用していなくても、簡単な設問に答える診断テストでお薦めの本を選び出してもらうこともできる。

 このサービスは在学生以外も利用できる。

 

始めていたが、アプリでも始めたことで、当初の予想を上回りアクセス数が激増。1日当たり最大約1万2000件を記録した。担当者は「思わぬ本を手に取るきっかけになれば」と期待を込める。

 出版事情や電子書籍に詳しいフリーライター永江朗さんは「大学教員が必読リストを提示するなど読書の手引きをする取り組みは以前からあり、今回もその流れの一つだろう。寝る時も風呂の中でも手放せないくらい学生の生活の中に入り込んでいるスマホに本を忍び込ませていくという発想は面白い」と評価している